「凝着」「付着」という現象
ほとんどの加工で、加工物と金型や工具に接触があり、加工材料が付着します。
コーティングにより、この現象が低減する効果がありますが、0にすることは困難です。
おまけに、摩擦熱等で加工物と膜が反応することで摩耗が進むことがあります(拡散摩耗)。
膜の硬さだけで摩耗が防げるとは限りません。
摩耗が原因で製品が低寿命だった加工事例を挙げると…
・Ti系膜での銅加工
・DLC膜での鉄加工
・CrNでの純鉄加工
などがあります。(切削油の存在もあり、絶対ではないですが)
より難しいのは、
樹脂の加工の付着摩耗防止で、これはコーティングしても効果が出るかは予想しにくい案件です。
成形時のガス腐食、樹脂に含まれるシリカ等による摩耗は弊社コーティングは有効ですが、
溶融した樹脂の付着防止は困難です。
付着防止については、フライパンなどに表面加工されるフッ素樹脂コーティングが有効なのですが、
硬度が低く摩耗に弱いです。
切削でも、高硬度の超硬合金工具がピカピカに磨いた様に摩耗します。
耐摩耗と耐付着、共に優れた理想の表面処理の道程は長いです。
まず、どのような状況が起こっているのか?
それを見極めることが必要だと思っています。