メッキとPVD膜

 

時々、お客様で耐摩耗性評価「メッキ」と「PVD膜」を行うことがあります。
例えば、硬質CrメッキとPVD CrN膜の比較です。

膜硬度比較では、
硬質Crメッキが900Hv、
PVDのCrN 1700Hvであり、
PVDのCrNが優位と思われますが
結果に差異が見られない場合があります。

事例として、

製品、材質 :摺動部品 焼き入れ鋼
成膜仕様  :膜厚50μmの硬質クロムメッキ、PVD CrN膜厚3μm。
試験環境  :圧力を掛けた液中(40μm大の不定形硬質砥粒を含む)での摺動耐摩耗試験。


結果は、

CrN膜は母材に達する深く短い傷が入り
硬質クロムメッキには細く長い傷が多数発生しました。

評価は摩耗状態は異なるが、CrNの優位は見られないとのことでした。

この現象を推察しますと、
硬質砥粒のサイズが大きく、圧力が砥粒先端に集中。
基材の表面変形が起こり膜割れが発生、砥粒が貫通。母材の傷を発生させたと思われます。
このような場合、どの様な膜であろうが、膜種を変え、硬度上げても結果が変わらないことが多いです。
また、砥粒が小さい場合は、CrN膜の耐摩耗性が優れる結果となりました。

 

メッキは適度な硬度、膜厚設定の自由度、低温の処理温度(50℃程度)が他の表面処理に比べ、優れています。

PVDは、膜種が多種多様ある為、選択幅が広く、また高硬度、密着性の高い成膜ができることが優れています。
メッキと比較してPVDは膜厚が薄いです。
その為、成膜する基材には膜の硬さに近い材料を選ぶ事が、PVD膜を上手く使うコツです。

今回の事例では、母材の硬度を上げることを提案いたしました。


このブログの編集者

株式会社オンワード技研
株式会社オンワード技研

1986年創業、DLC・セラミックコーティング・表面処理のプロ集団。
「EVER ONWARD=常に前進する。」をモットーに、コーティング専業メーカーとして全国のお客様の「ものづくり」を支えています。

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