AIPコーティングの歴史と当社の技術開発

1.AIPとは
AIPとはPVD法(Physical Vapor Deposition)の一種でArc Ion Platingの略です。ターゲットにアーク放電を発生させ、その際に生じる金属イオンを基板に引き寄せて被膜を形成する表面処理方法です。
2.表面処理の中でのAIPの位置づけ
下に示す図1は、数ある表面処理方法の中でも特に治工具類に用いられる表面処理法を表しています。その本記事テーマのAIP法は赤色の位置になります。
3.コーティング工具の進化の歴史
• 切削工具へのコーティングの適応は1950年にさかのぼり、スウェーデンのsandvikという超硬工具メーカーがCVD法で超硬チップに成膜し、販売したのが始まりと言われています。
• CVD法(Chemical Vapor Deposition)とは真空炉内を1000℃近くに加熱し、その処理空間に原料ガスを充てんして熱のエネルギーによって分解し、化学反応を利用し成膜する技術です。処理温度が1000℃という非常に高温領域で成膜される為、密着性は高いものの、限られた基材のみにしか成膜ができません。
• それに対し、PVD法(Physical Vapor Deposition)は熱の代わりに電気のエネルギーで成膜原料を分解し、500℃以下で成膜する事が可能です。

• また膜厚制御もCVDと比較して容易なことから、切削工具に多く使用される超硬工具や鉄系材料に成膜範囲が広がりました。
• AIPコーティングは個体原料をプラズマのエネルギーで溶解し、イオン化した金属元素を直接基材に引き込む事によって高い密着性が得られる事から切削工具と被削材の間で強い摩擦が生じる加工領域においても使用可能である表面処理方法として現代では欠かせない技術として利用されております。
• そのAIP法は1980年代にはTiN(チタンナイトライド)にAl(アルミ)を含有したTiAlNが開発され、それまで500℃程度の膜の耐熱性が700℃辺りまで向上し、より高速切削の工具コーティングとして活用が広まりました。
• またその後もTiがCrに置き換わる事により、より高温状態(1000℃以上)でも使用が可能な膜として切削等の加工現場で一般化しました。
4.当社のPVDコーティングの対象製品
• 当社においてもAIPコーティングに膜開発に力を入れており、OSシリーズ(2008年頃販売開始)やSmArcシリーズ(2011年頃販売開始)などの業界に先駆けて高耐熱に優れた膜、また工具刃先に膜が多く付着するAIP法の弱点を解消した小径工具向けのレシピを開発し、オンワード技研のオリジナル性のある膜を切削工具メーカーの皆さまにご利用頂いております。メーカー様の製造工程における課題に最適な膜をご提案いたします。ぜひ一度お問い合わせください!
• 次回はその「AIP法」についての利点と弱点をご説明致します。







