<No.30>AIPコーティングの弱点「ドロップレット」を除去する<後編>

ドロップレットを除去する新しい技術ができました

ブログのNo,28とNo,29の中でも説明しましたが、AIPコーティングの最大の弱点は膜中に含まれるドロップレットの存在です。ドロップレットが膜中に存在することで、切削加工等に発生する被削材との摩擦時に起きる凝着の原因となり、そのドロップレットを可能な限り膜表面から除去する事が後処理技術の課題です。

2023年に発表した「OS-Z」においても表面にドロップレットが存在し、切削加工時の凝着摩耗は発生してしまいます。

【2023年発表のOS-Z膜とは】

自社の取り組みとして2023年、業界において耐熱性が高いといわれる最先端のAlCr耐酸化耐摩耗性被膜技術「OS-Z」を開発しました。

2023年、業界において耐熱性が高いといわれる最先端のAlCr耐酸化耐摩耗性被膜技術「OS-Z」を開発しました<オンワード技研>

「OS-Z」の特徴はCrAlN超多層コーティングに酸素を添加することで耐熱性を持たし、膜の酸化温度1100℃と極めて高い事が特徴です。それにより高速切削加工用、または難削材加工向けの工具コーティングとして開発されました。また量産品としては世界初の酸窒化CrAl超多層コーティングです。
【特許】
• 特許7240045 AlCr耐酸化耐摩耗性被膜及びその被覆物
• 特許7240053 酸窒化超多層被膜からなるAlCr耐酸化耐摩耗性被膜、その被覆物及びその製法

【論文】
•<No.04>難削材の旋削加工におけるAlCrON超多層被膜の切削特性

AIPコーティング後の「ドロップレット除去処理の方法」として一般的なものに「エアロラップ」処理が挙げられます。しかしながらエアロラップは切削工具であれば一本一本を手作業で処理する為、仕上がり具合は熟練度によって異なり、バラつきが発生しやすいです。

そこで当社が採用したのは、新たな後処理方法「Z処理」です。Z処理の詳細はこのブログでお伝え出来ませんが、AIPコーティング後のドロップレットを含んだコーティング膜表面を平滑化する新しい研磨方法です。

AIPコーティング工具を手作業ではなく、専用装置で機械的に処理する為、熟練度を必要とせず、エアロラップと比較して膜表面の平滑化の仕上がり具合は均一化されます。またエアロラップは工具刃先のコーティング膜の脱落を防ぐことが難しい事に対し、今回のZ処理は工具の膜表面を平滑化するのと同時に刃先の脱落リスクを軽減したパラメータを採用したことによって工具刃先の膜も残した仕上がり具合を実現しました。

 2023年開発の「OS-Z」と今回開発した「Z処理」の複合によって、OS-Zは新たに「OS-ZZ(オーエスダブルゼータ)」として進化し、JIMTOF2026(東京ビックサイト)にて発表致します。

JIMTOF2026
会期: 2026年10月26日(月)~ 10月31日(土)の6日間
時間は10:00~17:00(最終日は16:00まで)
会場: 東京ビッグサイト(東京国際展示場)弊社ブロック:西1~2ホール、アトリウム WA004(エスカレーター降りてすぐ)

 


このブログの編集者

株式会社オンワード技研
株式会社オンワード技研

1986年創業、DLC・セラミックコーティング・表面処理のプロ集団。
「EVER ONWARD=常に前進する。」をモットーに、コーティング専業メーカーとして全国のお客様の「ものづくり」を支えています。

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