フィルタードアーク方式DLCの話

今回はフィルタードアーク装置(※以後FAD装置)と、
これで得られるta―C(水素フリー)DLC膜AC-X」、「AC-X・W」、「AC-X・X」の説明をします。

FAD装置

下図はFAD装置を上部から見たものです。

フィルタードアーク装置(FAD装置)DLC膜

このシステムはアークイオンプレーティング方式の欠点、ドロップレット(※1)を減らす事が目的です。
※1・・・ドロップレットとは、アーク放電で材料をイオン化する際に発生する、イオン化されない材料のことです。
膜に混入し硬度低下、面粗度低下、ピンホールの原因となります。

FADでは、カーボンイオンは磁場によるフィルターで90°曲げられDLC成膜します。
ドロップレットは磁場の影響を受けずに直進するため、ダストボックスに堆積します。
成膜成分が減少するので、成膜スピードは遅くなります。成膜温度は150℃程です。

これにより得られるDLC膜ダイヤモンド構造が多く
高硬度(Hv7000)で平滑性が高いta―C(テトラへドラルアモルファスカーボン)です。
原料にグラファイトを使うため、水素を含みません水素フリーDLC膜)。

DLC膜 (AC-X、AC-X・W、AC-X・X)

コーティング向け基材は超硬を推奨しております。
これは、基材と膜との硬度差による、基材の変形からの剥離のリスクを防ぐためです。

お客様からご好評を頂いている分野は、
電子部品リードで多用される銅加工車関係で多用されるアルミ加工の工具金型
使用目的は、耐凝着摩耗防止です。

ta―C(水素フリー)DLCの膜種は以下の3種類です。

AC-X:膜厚0.5μm程度 ※硬さと膜厚のバランスがとれた標準膜。
AC-X・W:AC-Xの厚膜仕様0.7μm程度※衝撃がかかる用途には向きません。
AC-X・Ⅹ:膜硬度を少し低下させた仕様で膜厚1μm程度。

ta-C希望のお客様にはまず「AC-X」をお勧めしております。
オンワード技研は、ta―C(水素フリー)DLC膜安定して供給できる、数少ない受託コーティングメーカーと自負しております。


このブログの編集者

株式会社オンワード技研
株式会社オンワード技研

1986年創業、DLC・セラミックコーティング・表面処理のプロ集団。
「EVER ONWARD=常に前進する。」をモットーに、コーティング専業メーカーとして全国のお客様の「ものづくり」を支えています。

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